MonkeyFlipが真骨頂としているのは『ゴツセル(ボリューム感のあるプラスチックフレーム)』だ。誰より僕がそれを承知しているし、何より僕がゴツセルを好きだから、これまでに数えきれないほどゴツセルなオリジナルをリリースしてきた。

しかし、何事にも反動というものがある。具体的に言うと、ゴツセルに心を砕いている反動で、真逆のフレームに心惹かれるタイミングがやってくる、ということ。僕の場合、それは2004年にあった。だからその年、『道/TAO INN(フレーム)・YAN(サングラス)』というウルトラライトメタルフレームをリリースしたのだ。

そして今回、実に14年ぶりに、僕の中にウルトラライトメタルへの憧憬がふつふつと湧きあがった。湧き上がったものを止めておく器量など、僕にはもちろんない。早速デザインに取りかかる。

根本のデザインコンセプトは、ウルトラライトの名前に恥じないほど「極限まで細く、どこまでも軽い」。そこにどれくらいの「MonkeyFlipらしさ」を叩き込めるか……それが2012VP113での僕の挑戦。

結果、フロントエッジをフロート差せるブロウタイプという「らしい」デザインに仕上がった。突き出したダブルブリッジは、僕からの『道/TAO』(つまり14年前)へのオマージュであり、そこも含めて2012VP113は、いまの僕が「This is MonkeyFlip!」と自信を持って提案できるウルトラライトメタルになった。

ちなみに、2012VP113というのは準惑星の名前である。2012VP113には「バイデン」というニックネームがつけられている(発見されたときのアメリカの副大統領 =Vice President=VPが、ジョー・バイデン氏だったことにに因んでいる)ので、このモデルはぜひ「バイデン」と呼んでやって欲しい。

(文責:猿頭★岸)