MonkeyFlip「らしい」モデルと言えば、ボリューム感あふれる攻撃的なモデルを想像する人が多いだろう。何を隠そう僕自身が、そういうメガネに心を惹かれ、自分がかけることを想定してデザインをしていて、それは2008年に『Balck Rabel』というシリーズをリリースし始めてから、一向に微塵も変わっていない。

というか、モデル数を重ねるうちに、ボリューム感はそのままに、もっとMonkeyFlip「らしさ」を埋め込みたいという狂気にも似た熱は大きくなる一方で、それが25周年を記念するモデルともなれば「何をか言わんや」である。

その狂気を裏テーマとして、各モデルに孕ませること目指したのが、今回の新作たちである。つまり、本来なら「裏」として隠しておきたいデザインテーマを明かさないと【アイテムストーリー】は語れないので、今回に限りモデルデザインの裏テーマをお伝えすることにする(表のテーマは「On The Way。25年歩んできたけれど、まだ「道半ば」という意味でつけた)。

裏テーマは「LACK」。
「欠乏」とか「欠如」の意味。

MonkeyFlipが25周年を迎える今年、世界はまだ新しいウィルスに翻弄され、僕たちは日々の生活の色んなものを奪われている、欠落を余儀なくされている。そして新型ウィルスが収まっても、この欠落はきっと、これからのスタンダードになる(と、僕は予想している)。

そうであれば。
25周年をリアルで華やかに迎えることができなかった僕の、そしてMonkeyFlipスタッフ一同の欠乏感も合わせ飲みつつ、この「LACK」を引き受け、デザインとして昇華させてやろう。それが今回のシリーズで、僕が僕の中に持っていた裏デザインテーマだ。

『破(は)』は、3モデルのうちでもっとも「LACK」を意識してデザインしたモデルだ。
たとえばフロントでは、左のフロント上部のみをLACKさせ、ブリッジには貫通ホールを2つ穿った。

以上のようにフロントでも攻めてはいるが、より特徴的なのはサイドからのビューだ。
レンズエンドからサークルを描くようにフロートさせた部分には「骨」の意匠を込めてあり、
そこから流れるテンプルも、同じように「骨」をモチーフにデザインをした。

フロントを含め、左右がアシンメトリーデザインになっていることも、
MonkeyFlip「らしい」特徴のひとつと言えるだろう。

カラーについては、25周年を記念して制作したオリジナルマテリアル「MONKEYフェイス」に加え、これまで積極的にはリリースしてこなかった色彩鮮やかな「キャンディカラー」を三色採用。「MONKEYフェイス」を表側に出したスペシャルカラーを含めた7色のカラーをたのしんでいただければ幸いである。

【文責:猿頭★岸】

ちなみにモデル名となっている「守破離(しゅはり)」とは……
日本の茶道や武道などの芸道・芸術における師弟関係のあり方の一つであり、それらの修業における過程を示したもの。日本において芸事の文化が発展、進化してきた創造的な過程のベースとなっている思想で、そのプロセスを「守」「破」「離」の3段階で表している。もとは千利休の訓をまとめた『利休道歌』にある、「規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」を引用したものとされている。(Wikipediaより)