MonkeyFlipのデザイナーとして、新型をデザインするとき、2つのラインを想定している。

ひとつはボリューム感のある、いわゆる「MonkeyFlipらしい」ライン。近々で言えば『紫電改』や『雷電』のようなスタイルだ。

もう一方は、昨年の展示会『Give me Gimmic』でスタートさせたもの。全体のフォルムはベーシックで、けれどそこにオンするギミックにこだわりを持ったラインである。そして実はこの新しいラインには、右テンプル内側のMonkeyFlipロゴの後に、○で囲んだ「頭」という文字を作り手のこだわりとして入れている(猿頭の「頭」である)。

僕が最初にモデルを作ったのが、33歳。「デコラティブスマート」をデザインコンセプトに、一見して「刺さる」フレームをこれまでに600モデル以上、世に送り出してきた。それから気付ければ、24年……僕も57歳になり、「一見では分からないエッヂ感」というか「裏生地でオシャレをする感覚」に惹かれ始めるようになったのだ。

だからこその新しいラインであり、僕にとっての集大成と言ってもいい覚悟を持って「○頭」マークを入れている。

「○頭」ラインとして第二弾となる今回のデザインテーマは、『砂の嵐』。
砂の嵐に隠された塔でコンピュータに囲まれて住んでいる超能力少年と、その3つのシモベたち。および敵役にインスパイアされて、5モデルをデザインした。

このモデルの『Hds』とはハデスのこと。ハデスは「死者が行く場所」、日本では「黄泉(よみ)の国」と呼ばれていた場所なので、このモデルは『Hds』と表記して「ヨミ」と発音する。

デザイン的にはMonkeyFlipが得意とする天地幅が狭い横長のフォルムで、フロント上部は斜めに面取りが施されている。そこに、こちらもまたMonkeyFlipが得意としてきたレーザー&カラーリングを施した(少し昔は、斜めに面取りをした部分にはきれいにレーザーを入れることができなかったが、技術の進化によりそれが可能になったのだ)。

『ヨミ』いうモデル名にふさわしいレーザーデザインがフロント全体を覆う、味わい深い1本。Ready-made Customは雰囲気を壊さないよう、けれどインパクトが増すように、スタッヅを打ち込んだ。

(文責:猿頭★岸)