久しぶりのボリュームラインである「ハルチ」「ウムチ」「ツヅチ」。デザインを進めるに当たって3モデル共通でコンセプトとして持っていたのは「どこか懐かしい新しさ」。それぞれのモデルに僕なりの懐かしさ、そして新しさを組み込んだ(どこにどう組込んだかを文字にするのは野暮に過ぎると、デザイナーとして感じるため勘弁していただきたい)。

ちなみに、モデル名になっている「ハルチ・ウムチ・ツヅチ」は、山幸彦が竜宮から帰る際、竜王から教えてもらった言霊だと古事記に記述がされている言葉だ。言霊学の立場では「チ」は「血」を表すとされ、意味としては「気」に近いとされている。

「ウムチ」は「生む血」。新しく「気」を生み出すことで、パワーを増強する。創造力を強化し、無から有を生み出す力を引き出す言霊だ。モデル名の前にレーザーで掘り込まれている文字は「マントラ」という意味のサンスクリット語である。

デザイン的な特徴はなんといっても、ダブルフロントを模したフロントデザインである。サイドビューで一見すると、フロント前側が浮いているように感じるが、実は15ミリというファットな生地から削り出した一枚生地。抉り出したように浮き出るフロント前側のクラシックなフォルムと、大胆に空いたフロントエンドのスペースが、無骨ながらもトレンドを感じさせるいいフォルムになった。

「ウムチ」は、ボリューム感のあるシリーズのアップモデルとして、1つの新しい解釈を生み出したのではないかと考えている。

カラー展開は6色。今回はボリュームやデザインにエッヂを立てたため、ドギツイ系やエグイ系のカラーはあえて採用していない。クリア(C6)以外のカラーでは、テンプルエンド(サイドビューでは一番前方)がフロント同色とクリアの2種類を準備した。これにより6色、11バリエーションでの展開になる。どのカラーを手にしていただいても、顔なじみが良く、シチュエーションを選ばずにかけていただけると思う。

プライスはすべて税込23,100円。このところの原材料の高騰や円安の影響で、このデザインをこの価格で提供できるのは最後ではないかと考えている。

(文責:猿頭★岸)