MonkeyFlipが真骨頂としているのは『ゴツセル(ボリューム感のあるプラスチックフレーム)』だ。誰より僕がそれを承知しているし、何より僕がゴツセルを好きだから、これまでに数えきれないほどゴツセルなオリジナルをリリースしてきた。

しかし、何事にも反動というものがある。具体的に言うと、ゴツセルに心を砕いている反動で、真逆のフレームに心惹かれるタイミングがやってくる、ということ。僕の場合、それは2004年にあった。だからその年、『道/TAO INN(フレーム)・YAN(サングラス)』というウルトラライトメタルフレームをリリースしたのだ。

そして今回、実に14年ぶりに、僕の中にウルトラライトメタルへの憧憬がふつふつと湧きあがった。湧き上がったものを止めておく器量など、僕にはもちろんない。早速デザインに取りかかる。

根本のデザインコンセプトは、ウルトラライトの名前に恥じないほど「極限まで細く、どこまでも軽い」。そこにどれくらいの「MonkeyFlipらしさ」を叩き込めるか……それが2015TG387での僕の挑戦。

結果、トレンドである「クラウンパント」というフォルムベースに、エッジをフロートさせるという「らしい」デザインに仕上がった。突き出したダブルブリッジは、僕からの『道/TAO』(つまり14年前)へのオマージュであり、そこも含めて2015TG387は、いまの僕が「This is MonkeyFlip!」と自信を持って提案できるウルトラライトメタルになった。

ちなみに、2015TG387というのは準惑星の名前である。ちょうどハロウィーンの時期に観測されたことから、ファンタジー小説などでお馴染みの小鬼「ゴブリン」の愛称がついているので、このモデルはぜひ「ゴブリン」と呼んでやって欲しい。

(文責:猿頭★岸)