2023年1月12日、モンキーフリップは『華甲』と言う名のモデルをリリースする。

デジタル大辞泉によると「華甲」とは、「華」の字を分解すると六つの「十」と「一」とになり、「甲」は甲子きのえねで十干と十二支のそれぞれの最初を指すところから数え年61歳の称。つまり人間が生まれて、60年経った時にそう呼ばれると言う言葉である。

そして、僕はこの日、60歳を迎える。

僕がMonkeyFlipをオープンさせたのは、今から27年ほど前、1996年6月14日である。そして、MonkeyFlipは1997年4月にはじめてのオリジナルをリリースした。以来、発売を重ねてきたモデルはいくつになるのだろう……これまで数えたこともないし、これからも数えることはないが、毎年10モデルは確実に発表してきたから、最低でも270モデルをこの世に送り出している(コラボレーションモデルを入れれば、300モデルはゆうに超えているだろう)。

その中で個人的に想い入れの強いモデルのひとつに『wick-it』がある。「MonkeyFlip ROSSO」が「Super MonkeyFlip」という名前だったときに、プラスチック枠を得意としてきたMonkeyFlipがはじめてドロップした、ステンレス1枚から切り抜いて作ったモデルだ。

得意分野から外れていたので、正直、売れ行きに関してはあまり期待をしていなかった。にも関わらず、『wick-it』は大好評となり、瞬く間にソルドアウト。MonkeyFlipのはじめてのヒットモデルとなった。また、再販をしないことを信条としていた僕が、強いリクエストの声に押され『wick-it R』『wick-it 01』とはじめて再リリースを重ねたもの、このモデルだ。

ばかりではなく。2008年には、素材をステンレスからチタンに変えて、また名前も『雷火』と変えて、4度目のドロップ。さらに2013年、「雷火 TRIBUTE」をテーマに素材をプラスチックに変えた4つのモデル、『雷火-輪』『雷火-廻』『雷火-転』『雷火-生』までドロップしている。

この想い出深き『wick-it』の、あるいは『雷火』の2023年バージョンが『華甲』である。現在のビックシェイプというトレンドを捉えつつ、すでに遠近がマストになっている僕の現実も踏まえつつ、いま僕が欲しい『wick-it』あるいは『雷火』をデザインをした。

カラー展開はベーシックな、ブラック、ガンメタ、ラゴールドに、還暦記念としてのレッドを加えた4色。

還暦は「また暦が還った(かえった)、生まれ変わりの時」とも言われている。この生まれ変わりの年の、自分の誕生日に、想い出深いモデルの進化バージョンをリリースできること、心より嬉しく思う。

皆さま、『華甲』をよろしくお願いします!

<文責:猿頭★岸>

追記
ちなみに付属するメガネ拭きのデザインは、猿(マントヒヒ)にも、龍にも見えるようにデザインをしたつもりである。