ここ数年、眼鏡のトレンドは「クラシック」である。
クラシックとは、ウェリントンとかボストンとか、いわゆる「昔ながら」のフォルムのことを指す。この流れがあまりに長く続くので、眼鏡に関わる者たちは「流石に飽きてきたよね」「うん、もう終わるんじゃない」と顔を合わすたびに話すほどだったが、そんな僕らの予想をあざ笑うようにクラシックの波は勢いを増しており、これはもうトレンドではなく一つのジャンルとして確立したと認めざるを得ない、となってきた。
であれば。クラシックジャンルにもMonkeyFlipの爪痕を残したい。しかしご存知の通りMonkeyFlipが主とするデザインテイストは、クラシックではない。というか、クラシックからはほど遠い。
では、どうするか?
一つのジャンルとして確立したクラシックに、なにをどのように打ち込んでいけばMonkeyFlipのオリジナルとして胸を張れるのだろう? 僕は長い間、思い悩んだ。クラシックはデザインとしてかなり完成されているので、捻る部分が限られているからだ。そんな僕に、ある日忽然と振ってきたアイデア。
「フロント前面のアシンメトリー」。
MonkeyFlipはアシンメトリーを得意としている。これを異素材の組み合わせで、クラシックテイストに組み込んだら面白いのではないか、と一旦降ってきたアイデアはそこから溢れるように増殖し、『奇キ』『怪カイ』となって結実したのだ。
モデル名は、アシンメトリーを強調するため「同じ音を被せつつ、表記を変える」ことをまず考え、デザインテイストを加味して「奇々怪々」しかないと決めうち、最後に表記を『奇キ』『怪カイ』とした。
僕自身、ヘビロテで使用しているお気に入りのモデルである。
(文責:猿頭★岸)
*『奇キ』の Item Stories と同文章