MonkeyFlipのオリジナルと言うと、「ボリューム感のある攻撃的なフォルム」をイメージする人が多いだろう。確かにデザインをしている僕自身が「ボリューム感のある攻撃的なフォルム」をカッコ良い!と感じているし(それはアイウエアそのもののカッコ良さではなく、かけた時にかけた人をカッコ良くさせる力ということだ)、どれもこれもがトラッドスタイルに流れてしまい、主張するメガネが少なくなってきていることへのレジスタンスのようなものもある。だからモンキーフリップのオリジナルのイメージがそこにあることに異論は無い
しかしながら、である。MonkeyFlipのオリジナルにはもうひとつ、「アシンメトリー」というファクターがある。過去には「秘體ショー」シリーズでアシンメトリーの粋をデザインしたこともあるが、そこから僕のデザイン志向は、攻撃的になりすぎないアシンメトリー・デザインに向うことになった。ボリューム感のあるシリーズが攻撃的にいくかたわらには、ビジネスシーンでも使えるアシンメトリー・デザインがあっても良いのではないかと言う考えだ。
そうして生まれたのが「奇キ」「怪カイ」であり、「屍シ」「累ルイ」だ。平たく説明をするなら、クラシックなフォルムをベースとしつつ、フロントの片側にだけメタルを貼ることにより、素材とカラーでアシンメトリー感を出したモデルたちだ。今回リリースする「戦セン」と「恐キョウ」は、このシリーズの三代目と言うことになる。三代目ともなると、デザイン上で少し攻めたギミックを入れたくなり、今回は以下の3つをデザインに組込んだ。
1、ディンプル・メタル
これまでの4モデルにおいてフロントのメタルは、何も手を加えないソリッドのままであったのに対し、「戦セン」「恐キョウ」では、ディンプルをつけたバリエーションもデザインした。この夏にリリースしたDRで初採用したカスタム「トライポ」の流れを、メタルに反映させた形だ。「トライポ」ほどのインパクトはないものの、とても落ち着いたアーバンな雰囲気をに仕上がったと、個人的には満足している。
2,ワンポイント・ナロー・テンプル
「戦セン」「恐キョウ」のテンプルは、耳に係る部分(専門的には「モダン」と言う)の手前に、ワンポイントで芯金をむき出しにする部分をつくった。サイドビューでもトレンド感を表現したかったので、このデザインを採用したのだ。ほんの小さなデザインではあるが、グルービー感がグンと高まったのではないだろうか。
3,ビックフォルム
「戦セン」「恐キョウ」共にクラシックなフォルムだけに、同シェイプのメガネを見かけることは多いだろう。しかしながら、このフォルムで、このサイズ感は、なかなかない(個人的には、見たことがない)。元来MonkeyFlipはビックサイズを好んでリリースしてきたが、「戦セン」「恐キョウ」でのビックサイズは、このサイズ感の方が、かけた人間をクールに引き立てるからだ。クリアレンズのままで楽しんでいただいてもクールだし、カラーレンズもまたかなりクールである。
以上3つのポイントでデザインした「戦セン」「恐キョウ」のカラー展開は6色。それぞれにディンプルのないノーマルタイプと、ディンプルのあるSタイプを準備しているので、合計12バリエーションとなる。
カラーでの個人的なオススメは何と言っても、MONKEY25周年記念オリジナルプリントを表に出している2番カラーだ。その他にも、透明感あふれる生地を使ったカラーが多いので、サイズ感の割に軽やかにかけていただける一本に仕上がっている。
(文責:猿頭★岸)